感覚統合療法の効果は?

2023年8月29日

感覚統合療法は、このようなお子さまに効果的!

 

・姿勢が崩れやすい,疲れやすい,動きが少ない

・ぼんやりすることが多い,朝からあくびばかりする

・落ち着きがない,きょろきょろとしていて気がそれやすい,気が変わりやすい

・動き回る,いつもそわそわと体を動かしている,手遊びが多い

・元気が良すぎる,力加減が分からず乱暴に見える

・怖がり,散髪や爪切り・耳かきが嫌い,性格が固い,一人で遊ぶことが多い,癇癪が激しい,トラブルが多い

 

 

感覚統合に苦手さがあるお子さま

 

①感覚過敏のお子さま(感覚過敏)

何気ない触感や音・光などを過度に怖がるお子さまがいます。感覚が過敏なお子さまは、ベタベタしたものが嫌だったり、洗顔やシャワーを嫌がることもあります。音に過敏なお子さまは、集団やにぎやかな場所に行きたがらないこともあります。

 

②感覚刺激を求めるお子さま(感覚探求)

ある感覚刺激を過剰に求めるお子さまがいます。走り回ったり(多動)、高い所からジャンプを繰り返す、ブランコ遊びに執着する、また触ることへの強い欲求が生じると、泥んこ遊びや水遊びなどに没頭するお子さまもいます。これは、動きの感覚(前庭覚)や筋肉の感覚(固有受容覚)の刺激を強く求めているからで、感覚の受け取り方に偏りがあるからと考えられています。

 

③感覚が区別しにくいお子さま(判別性の未熟さ)

脳が受け取った感覚の情報を、的確に区別できないお子さまがいます。自分の体に触られた時、どこを触られているのかが分かりにくかったり、自分の触っている物の感触が分かりにくいお子さまもいます。例えば、本のページをめくるときには、指先へのわずかな感触を手掛かりに指を動かすので、紙のわずかな感覚が判別できないと本がめくれません。また、紙コップのような柔らかい容器を持つときには力加減が大切ですが、力加減が苦手なお子さまは紙コップをつぶしてしまうかもしれません。

 

④姿勢を保つことが苦手なお子さま(姿勢保持機能の未熟さ)

体がくにゃくにゃした感じでだらしなく見える姿勢をしたり、同じ姿勢を一定の時間保つのが苦手なお子さまは、体の筋肉が柔らかかったり、バランス機能が成熟していないために、一定の姿勢を保つことができません。

 

⑤物によくぶつかるお子さま(身体図式の未熟さ)

机やドア、階段、ロッカーなど、何でもない物にぶつかるなど、身のこなしが不器用なお子さまがいます。体の感覚(動きや位置、筋肉や皮膚からの情報)が的確に把握できないため、自分の体を空間の中で上手に動かすことができないと考えられています。

 

⑥複雑な動きができないお子さま(両側統合・順序立てた予測動作の未熟さ)

利き手で箸を動かし、反対の手でお茶碗を持ってご飯を食べる動作は、左右の手の役割分担を行い、同時に動かすという両側統合の働きが十分でないと、食べこぼしなくご飯を食べることが難しくなります。また、縄跳びのように、左右の手を同時に回し、連続してタイミング良くジャンプするといういくつかの動作を組み合わせて行う運動が苦手なお子さまがいます。「同時に…」「連続して…」という、いくつもの運動をあらかじめ予測して順序立てて行うことが上手にできないという特徴は、感覚統合が十分に発達していないお子さま達によく見られる特徴です。

 

⑦遊びが広がらないお子さま(企画力の未熟さ)

いつも同じ遊びを繰り返したり、失敗した時にやり直しながら試行錯誤することが苦手なお子さまがいます。例えば、新しい遊び場やおもちゃで遊ぶためには、「それを使った遊びのアイディアが思い浮かばないこと」、次に「遊びの含まれる動作を、頭の中で順序良く組み立てプランを練ること」「そのプランに従って体を動かすこと」が必要です。もしうまくできなければ、アイディアやプランを修正する必要もあります。このような「企画力」は、さまざまな事態に柔軟に対処していくためにも必要な力で、自分の力で喜びを見つけ出していくためにも不可欠な能力です。

 

 

感覚統合の発達の順序性

 

上の絵は、感覚統合のみちすじをりんごの木に例えたものです。

私たちが生活している間中、色々な音や体の動きなど、様々な感覚刺激が入ってきます。この感覚刺激は、木の根っこのようなもの。必要な物を必要なだけしっかり取り入れないと、幹は大きく育ちませんし、おいしいりんごは実りません。根っこの部分に問題があると、りんごの実にも影響が出てしまいます。

「感覚統合」とは、たくさんの感覚情報を必要なものといらないものとに分けて整理したり、関連づけたりして、毎日の生活がスムーズにいくようにするための働きです。

この感覚統合の考え方を生活や遊びの中に取り入れ、必要な感覚刺激を経験できるようにしてあげることが大切です。

りんごの実だけに注目していては、お子さまに無理難題を強いることになりかねません。身を大きくおいしくするためには、まずは基礎である根っこを丈夫にすることが大切です。

 

<りんごの木の幹>

●下部:【第1段階】

第1段階は、出生から2歳ころまでです。授乳や抱っこなど、父母や保育者との触れ合いにより感覚が刺激され、父母や保育者との絆ができます。また、体の動きや力の入り具合を感じ取る感覚の発達により、筋肉に張りができ、「姿勢を保つ」「バランスをとる」「スムーズに目を動かす」などを学んでいきます。

 

●中部:【第2段階】

第2段階は、4歳ごろまでです。自分の体の各部分が分かって動きを感じられるようになると、自分の体を上手に操りながら慣れない動きもできるようになります。これは、触覚や体の動きや力の入り具合を感じ取る感覚などの基本的な感覚が発達して、その情報を統合することによってできるといわれています。

 

●上部:【第3段階】

第3段階は、6歳ごろまでです。第2段階までの土台ができて発達します。視覚や聴覚と統合され、目で見たところに正確に手が行くなど、目と手の協調運動ができたり、形や音を区別できるようになったり、目的をもった行動ができるようになります。そして、言葉も発達してきます。

 

第3段階までの感覚の統合が基礎となって、最終段階では、集中力や自分をコントロールする力、学習能力や社会性などが発達していきます。

学習でつまづいているお子さまに対して、学習だけを練習する方法はかえって意欲を減退させ、自信を失わせてしまうかもしれません。第1段階や第2段階でつまづいているなら、その基礎の部分にも働きかけることが、遠回りのように見えて近道でもあることが多いのです。

 

感覚統合療法では、この木の根っこ部分、特に[前庭覚][固有覚][触覚]に重点を置き、これらの感覚を刺激する遊びを取り入れながらアプローチしていきます。

 

 

 

 

 

 

参考文献:

・佐藤 和美 著 「たのしくあそんで感覚統合 手づくりのあそび100」

・太田 篤 著 「イラスト版 発達障害児のたのしくできる感覚統合」

 

 

 

 

 

★次回は、感覚統合療法の内容(順序や遊びなど)について書きたいと思います。