感覚統合を育むライフスタイル

2023年9月30日

生活の中で育むことができる感覚統合のポイントを8つご紹介いたします。

 

 

 

1.様々な感覚を生活の中に取り組む

普段の生活の中で、お子さまが様々な感覚に触れ合うことができるように心がけます。

室内で遊ぶ時には、裸足になることで足裏からの感覚が入ってきます。工作をする時には、スティックのりを使わずチューブや容器に入った物を使うと、指で感触を体験できます。お絵描きはペンや筆だけでなく、指や手を使ったフィンガーペインティングもおすすめです。

ほんの少しの工夫で、お子さまが体験できる感覚の範囲が広がります。

 

 

2.苦手な感覚を無理やり慣れさせようとしない

お子さまが嫌がる感覚を無理に押し付けないようにします。

感覚に慣れさせようと、無理やり刺激を与えても、脳では感覚情報を上手に処理できません。脳の中での情報処理が止まってしまって、パニックを引き起こしたり、その感覚をますます嫌がるようになってしまうこともあります。

まず、周囲の大人がお子さまの苦手な感覚を知り、出来る限り苦手な感覚刺激を取り除くことが大切です。

また、お子さまが受け取りやすい感覚もあります。そのような感覚を見つけて、受け取りやすい感覚を広げていくような配慮や工夫が必要です。

 

 

3.好きな感覚を楽しめる環境と時間を与える

たくさんの感覚刺激を必要としているお子さまは、ダイナミックな遊びを好み、見ているほうがハラハラするようなことをします。

このような場合も、大人はただ「危ない!」と禁止するのではなく、万が一落ちた時にも大丈夫なようにクッションを準備するなど、安全面の対応に力を注ぐことが必要です。

また、遊びに夢中になってなかなか終われないこともあります。たくさんの刺激が必要なお子さまは、満足するまで通常の何倍もの時間がかかることを理解して、時間の配分を考えます。屋外遊びも、着替えを準備しておけば、「洋服が汚れる」という禁止の言葉も減るはずです。

しかし、どうしてもして欲しくない遊び方もあります。そのような遊びに向かった場合、「だめ!」と止めるのではなく、「こんな風にしたらもっと楽しいよ」と、具体的に適切な遊び方を伝えます。

 

 

4.お子さまが楽しむ気持ちを第一に!

遊びは、お子さまの様々な発達を促す力を持っています。砂遊びは触覚の能力を高め、スコップの穴掘りは手足の操作性を発達させます。

しかし、お子さま達にとっての遊びは、何かを発達させるための手段ではなく、遊びそのものが目的なのです。大人が遊びの効果ばかりに注目して、その結果を求め始めると、お子さまは興ざめしてしまいます。遊ぶ時は、大人も一緒に心から楽しんでください。お子さまにとって、遊びは楽しいから意味があるのです。お子さまが本当に楽しく遊んでいる時、お子さまの脳は最適な状態となり、感覚統合の発達を促します。

 

 

5.お子さまが好きなことから始めてみる

大人が遊びを用意することが多いとはいえ、お子さまが主体的に遊ぶことが重要です。

お子さまが主体的に遊ぶには、お子さまが好きな遊びを用意することです。日頃から、どのような遊びをしているか観察してみてください。

お子さまが好んで行っていること(これには奇妙な行動や望ましくない行動も含まれます)を注意深く観察していると、お子さまが求めている感覚(例えば、触れたい、ぐるぐる回りたい、圧迫されたいなど)を見つけることができます。お子さまの行動から価値観や志向性を丁寧に読み取ることが重要です。

大人がさせてみたい遊びを強要することでも、お子さまはそれなりに遊びますが、自分で遊びを考え・行う<遊びの企画力>は育ちません。お子さまのための遊びを促すコツは、「強要することなく、誘惑する」ことです。

 

 

6.ほどよいチャレンジを大切に

遊びに必要な能力が、自分の能力を明らかに超えている場合や明らかに簡単すぎる場合、お子さまはその遊びには興味を示さなくなります。

ほんのちょっと頑張ると達成できるレベルの遊び、<ほどよいチャレンジがある>遊びが必要です。大きな挑戦が苦手なお子さまが多く、途中で挫折し、敗北感を味わうことになりかねません。たくさんの小さな達成感を積み上げること、それは自分の能力に対する自信(自己肯定感)を育てます。

 

 

7.お子さまが安心して気持ちよく遊べる環境

安心して遊ぶには、物理的に安全な環境だけではなく、心の安全も重要です。信頼できる大人の存在、安心できる大人の支援など、情緒的にも安心できる環境が必要です。お子さまと遊ぶ時には、「遊んであげる」関係から、「一緒に楽しむ」、「楽しみを共有する」関係を心掛けます。

 

 

8.手伝いすぎないこと

中国に『ある人に魚を1匹与えれば、その人は一日食える。魚のとり方を教えれば、その人は一生を通して食える。』ということわざがあります。

大人が助けることは簡単ですが、お子さまが試行錯誤できるように促すことが大切です。

例えば、登ってみたい台があるときには、自力で登れるように踏み台を用意します。そうすることで、お子さまは自分で問題を解決し、遊びを発展させる力を身につけていきます。

 

 

 

 

 

参考文献:

・太田 篤 著 「イラスト版 発達障害児のたのしくできる感覚統合」

 

 

 

 

 

★次回からは、お子さまの「困った場面」や「望ましくない行動」に対する対応法や改善法(アプローチの仕方)について書いていきたいと思います。