座っているとすぐに姿勢が悪くなってしまうのは、どうしたらいいの?
よくある悩みとしては、食事をする時や、授業中椅子に座っている時など、背中が曲がりだらしない座り方になったり、テーブルや机に頬杖をつく。ふにゃっとした姿勢でいつも眠たそうに見える。椅子から崩れ落ちるようにして、やがて床に座ってしまう。注意されれば、自分でも姿勢が崩れたことはわかって直すことができるが、それを維持することができない。などがあります。
姿勢を維持するのが苦手で、何度注意しても姿勢が崩れる子を見ると、周りの大人は「だらだらしている」「ふざけている」などと思いがちですが、本当は怠けているのではなく、筋肉の使い方が分からないのです。
どうしてぐにゃぐにゃしているのか?
筋肉の緊張を調節できていない
姿勢を維持するためには、背中の筋肉をちょうどよい強さに緊張させる必要があります。
姿勢が崩れやすいお子さまは、筋肉の緊張をコントロールする感覚が整っていないのです。
そのため、歩く時にもふにゃふにゃとして見えます。
姿勢が悪いと、視界も狭くなってしまいますし、字を書いたりする動作にも支障をきたしますので、その結果、集中が途切れやすくなることもあります。
また、筋肉の緊張を調整できていないことの他にも、中心視の機能を使えていなかったり、バランス感覚が弱いことも姿勢を維持できない原因として考えられます。
対応策は?
ジャンプ遊びやすべり遊びなどを繰り返すと前庭覚が整い、姿勢が改善します。
また、ゆらゆら遊びやぐるぐる遊びで眼球運動を行うのも良いです。
ストレッチ遊びやツイスターゲームでは、筋肉の緊張を実感することができます。
●ジャンプ遊び
ねらい:上下の動きで前庭覚を働かせます。ジャンプのタイミングをつかむことで、リズム感も働きます。
効果:前庭覚を働かせることで、姿勢の崩れが改善する。ジャンプでは特に、体の中心軸である正中線が整いやすい。また、感覚刺激がよく入るため、自己刺激行動が抑制される。
方法:
①最初はお子さまに自由に飛んでもらい、どのような飛び方をするのか様子を見る(姿勢が崩れやすいお子さまは、ジャンプする時の着地点が前後左右に動きやすい)。
②大人が両手でお子さまの両手を持って支え、介助した状態でジャンプさせる(大人は支えるだけで、あまり力を入れない)。
③介助して、お子さまがバランスをとれるように助けたり、より高く飛べるよう、勢いをつけたりする。
④ジャンプを続けるうちに、高さがアップして、着地点が動かなくなっていき、身体がシャキッとして見える。
※回数の目安は、10分間くらいで100回以上を目標に。
☆ジャンプ遊びをより楽しくするアレンジで、大人がタンバリンなどの楽器を持ち、お子様のジャンプの最高到達点でかまえる。お子さまはできるだけ高く飛び、楽器をたたくようにすると、楽しさがupしそうですね!
●すべり遊び
ねらい:高いところから低いところへの動きで、前庭覚を働かせます。様々な姿勢で滑ることによって、ゆれや姿勢の変化を経験することもできます。不安の強いお子さまは、ゆっくり行っていきます。
効果:プールに浮く時などのゆれや、不慣れな姿勢などを怖がる姿勢不安が和らいでいきます。また、前庭覚を使うため、姿勢の崩れやすさや目の動きの悪さも、あわせて改善していくことができます。
方法:
①すべり台をすべりおりる。お子さまが怖がる場合には、大人が姿勢を支えるか、スピードを調整してすべります。
②前庭覚を働かせる経験を積むと、姿勢の調整が上手になり、怖さが軽減して1人ですべれるようになります。※座る体勢の他に、仰向けに寝て滑ったり、うつ伏せですべったりしてみます。
③ゆっくりすべることが平気になってきたら、徐々にスピードをあげるのも良いです。姿勢不安よりも、姿勢の崩れなどに効果的な遊びになります。
※回数の目安は、10分間で10回程度すべる。
☆ゆれが怖くないお子さま向けのアレンジとして、大きな公園の坂や土手などでそり遊びをするのも良いです。段ボールなどでそりを作り、ゆっくりすべったり、様々な体勢で楽しむことができます。
※左右に揺れるため、すべり台よりも難易度は高いです。
参考文献:木村 順 著 『間隔統合をいかし適応力を育てよう1 発達障害の子の感覚遊び・運動遊び』
★次回は、この記事の続きで、ゆらゆら遊び、ぐるぐる遊び、ストレッチ遊び、ツイスターゲームについて書きたいと思います。