●ゆらゆら遊び
ねらい:前庭覚を受け止める回路を活性化させ、ゆれを怖がる姿勢不安のお子さまに適します。
効果:前庭覚を受け止める回路の活性化によって、ゆれへの恐怖が少しずつ和らいでいく。経験を積み重ねることで、いずれはブランコにも乗れるようになります。前庭覚が働くため、結果として姿勢の維持・調整もしやすくなります。
方法:
①ゆれが怖くてブランコに乗れないお子さまは、大人が子供を抱っこして、背中や腰、首筋をしっかりと支える。
②お子さまをしっかりと支えたまま、大人が上半身を前後にゆっくりとゆらす。※この段階では、小さなゆれにとどめる。
③ゆれを怖がらないようになってきたら、ブランコにチャレンジ。大人がお子さまをしっかり抱きとめた状態でブランコに座り、両足を地面につけたまま、ゆっくりと前後にゆらす。
④ブランコのゆれが平気になってきたら、少しずつゆれを大きくする。大人が地面から足を離して、ブランコをこぐ動きをとり入れていく。
⑤お子さまが怖がらないゆれ方をキープしたまま、抱きとめ方を緩やかにする。最終的には1人乗りに移行する。
※回数の目安は、5~10分程度。
★ゆれがある程度平気なお子さま向けのアレンジとして、ゆれる馬やうさぎなどの形の乗り物にまたがって揺れると、前後左右のゆれが経験でき、前庭覚の感覚を働かせることができます。
●ぐるぐる遊び
ねらい:回転で前庭覚を働かせる。前後左右のゆれと回転では動き方が違うため、どちらかが苦手なお子さまへの選択肢の一つとなる。
効果:体の中心軸が整うことが効果の中心となっいるが、それに伴って、目の動かし方も良くなる。
目の動かし方が上手になると、ボールを目で追うことや板書をノートに写すことなど、目の動きに関わることが上手になってくる。
方法:
①お子さまが乗ってぐるぐる回れる道具を用意する。ご家庭では椅子、公園や学校では遊具が活用できる。
②お子さまに回転遊びの説明をして、あまり勢いよく回ると危ないということも伝えて、お子さまに自由に回ってもらう。
③ただ回っているだけでは飽きてしまうので、ダーツ遊びなどを組み合わせる(椅子で回りながら、タイミング良くダーツを投げる)。※ここで、目を合わせるポイントを用意するのが大切。
④ダーツの的は一定の位置にする。周回ごとに同じ位置に的があるため、お子さまが一回転を意識しながら遊ぶことができる。
※回数の目安は、30回転ほど。
★遊び慣れたら、公園のタイヤブランコや遊園地の回転遊具にもチャレンジしてみましょう。
●ストレッチ遊び
ねらい:固有覚を使うことで、筋肉や関節の動かし方が分かってくる。動作のコントロールができるようになる。関節の曲がり具合や伸び具合、力の入れ加減も自覚でき、ボディイメージ作りに役立つ。
効果:特に力加減の点で効果が出やすい。手足の動きの調整ができるようになり、飲み物などをこぼすことが減る。副次的に、物を片付ける力がついたり、声の大きさの調整が身についたりするお子様もいる。
方法:
①大人と一緒に楽しめそうな動きをとり入れる。ストレッチの本や動画などを参考にして、体に無理のない体操の中から選ぶと良い。※首筋や背中などは触られるのが嫌なお子さまもいるので、触れ合いは慎重に。
②本人が「そこまでは動かせない」と感じているところまで、体や手足を伸ばしたり曲げたりする。1つの関節10~30秒間行う。
③ストレッチにヨガのポーズを取り入れるのも良いので、本や動画などを参考にして、良さそうなポーズを選ぶ。※お子さまが多少ポーズを間違えてても良いので、楽しみながら行いましょう。
④ストレッチ、ヨガ、その他さまざまな体操から新しい動きをとり入れ、飽きないように工夫して行う。
⑤バランスをとるポーズもとり入れると良い。筋肉の張りや姿勢の傾きを意識すると、感覚がよりいっそう豊かに働く。
※回数の目安は、週に2~3回、手の空いた時間に。
★ラジオ体操や教育番組などの、お子様がいつも楽しんでいる体操を、大幅にペースを落として行ってみましょう。速度が落ちるとバランスをとるのが難しくなり、感覚がよく働きます。
●ツイスターゲーム
ねらい:手足を指定のマスに動かすというるーるによって、思いがけない動きをすることになり、手足や体に良い感覚刺激が入る。それによって、固有覚をはじめ、全ての感覚がよく働き、調整される。
効果:体の動きが全体的に柔軟になり、幅広くなる。前庭覚もよく働くため、バランスをとる力がアップし、姿勢の改善にも結びつく。市販品ということもあり、練習ではなく遊びとして入っていきやすい。
方法:
①市販の「ツイスターゲーム」を用意する。
②ツイスターゲームは、手足をルーレットの目と同じ色のマスにのせる遊び。姿勢を維持できずに転んだ方が負けで、指定が増えるほどに無理な体勢になり、一生懸命にバランスをとろうとする。
③指定のマスに手足をのせようとすると、普段とらないポーズがとれ、ゲームをしながら感覚が鍛えられる。
④2人以上で遊ぶと、人との接触もあるため、触覚の感覚もよく働く。※最初は1人で行い、慣れてきたら複数で遊ぶと良い。
※回数の目安は、週2~3回、1回30分程度。
参考文献:木村 順 著 『間隔統合をいかし適応力を育てよう1 発達障害の子の感覚遊び・運動遊び』
★次回は、「授業中などにじっと座っていられない」ことについて書きたいと思います。