ちょっとしたことに気をとられ、集中が切れる

2023年12月25日

ちょっとしたことに気をとられ、集中が切れるのはなぜ?

 

 

 

よくある悩みとしては、授業中や朝礼の時などに、先生の話よりも周囲の物音に気をとられ、話が頭に入らない。家庭で家族と話をしている時にも、外を通る車の音などに気をとられ、楽しい話にも集中できず気が散ってしまう。友人と楽しくおしゃべりしていても、次から次へ話題を変えたり、他の人が話している途中で割り込んだりして、相手が困ってしまう。また、おもちゃで遊ぶ時、目移りしやすくて、興味がある次々へと移っていくが、好きなことには極端に集中し、声を掛けても反応しない。手順をおって作業することが苦手で、整理整頓ができない。などがあります。

 

ちょっとしたことに気をとられて集中できないお子さまは、「注意散漫」と指摘されることがありますが、注意力や集中力が無いわけではなく、そのコントロールが苦手なのです。集中力がないお子さまは、遊ぶ時も勉強する時も、一つ一つの作業を完成させずに、次の作業に移る傾向があります。集中はできるのですが、その対象やタイミングが適切ではないのです。

 

 

 

どうして落ち着きがないのか?

 

情報の取捨選択ができず「不注意」に

見たもの、聞いたことを次々と受け取っているため、集中力のコントロールが苦手です。不要な情報を遮断することができないので、気が散りやすく、集中が戻りにくいのです。これは、ADHDの特徴のひとつ「不注意」とされる状態です。

もしくは、脳機能の覚醒レベルが低く、ボーッとしやすい状態になっています。

 

集中力の3つの要素

①課題に注意を向け続ける力,②次の課題に注意を向け変える力,③元の課題に注意を向け戻す力 の3つが合わさって、注意の集中・持続ができます。そのいずれかが弱いと、集中力のない子に見えます。①と②がどちらも弱いお子さまもいます。①が過剰に働くと、「過集中」の状態になります。

 

 

対応策は?

 

タッチングクイズは、体の一部に注意を集中したり、向け変えたりする練習になります。

また、タッチング遊びや手探り遊びで皮膚や指先に意識を向けるのも良いです。お子さまがクイズや遊びに視線を向け、集中できていれば効果があります。

 

 

 

●タッチングクイズ

ねらい:クイズをしながらお子さまの肌に触れ、体の部位を意識させる。識別系が働くように触れるのがポイントで、ボディイメージが回復する。体に入ってくる感覚に注意を向け続けることで集中力も育つ。

 

効果:自分の手足や体の実感が育つため、動作イメージがつかめるようになり、全体的に動きが器用になる。触覚の過敏な反応が和らぐ場合も多い。正答数が増えると、それが自己有能感にもつながる。

 

方法

①お子さまの背中を撮影して、その写真を印刷する。それがクイズの解答用紙になる。※紙に背中の絵を書いても良い。

②背中を右肩・右脇・右腰・左肩・左脇・左腰に6分割してクイズをすることを、写真(または絵)を見せながら、お子さまに説明する。※難しければ4点にし、上達したら9点にしても良い。

③お子さまの背中の6点のうち1点に指で触れ、どこに触れたか、お子さまに当ててもらう。お子さまは写真(または絵)を見て、正解だと思う点を指す。次は、2点同時に触れるクイズにして難易度をアップしていく。

④次は背中に線を引き、どの点とどの点を結んだか答えてもらう。さらに2画の線、3画の線とレベルアップしていく。

 

※回数の目安は、週2~3回、1回10問程度。正答数を記録する。

 

☆タッチが苦手なお子さまは、シールやテープをはるのも良いです。貼った部位をお子さまが指さしたり、探したりします。お子さまが好きな絵柄やキャラクターのシールにすると、よりいっそう楽しめます!

 

 

 

●タッチング遊び

ねらい:お子さまがタッチされている部位に注意を向けるようにぎゅっと押すことで、触覚の識別系が働く。部位の名前を話しながら行うと、各部位を意識しやすくなり、ボディイメージ作りにも役立つ。

 

効果:触覚の識別系が育つと、原始系にブレーキがかかり、頬ずりや歯磨き、爪切りを嫌がることが減る。のりや粘土など、触れる素材も増え、乱暴な振る舞いや自己刺激行動も改善される。

 

方法

①家の中で、タッチングに使えそうな道具を探す。感触の異なるものをいくつか用意する。※例:食器洗い用スポンジ,ヘアブラシ,洗濯用のブラシ,ボディタオルなど。

②用意した物をお子さまに見せ、タッチング遊びを説明する。道具をお子さまの腕に当て、嫌がらないものを探す。※腕ではなく、足や背中の方が注意を向けやすいお子さまもいる。

③腕やすねなど、お子さまが嫌がらないところからスタートする。道具をお子さまの肌に直接当て、少し強めに押しつける。※擦らない。

④お子さまが注意を向けるようになったら、触る部位を動かす。肘→二の腕→肩へ。嫌がる場合は、一つ前に戻すか、いったん手を離す。

⑤他の部位でも行う。最終的には首すじや口元など、お子さまが触られるのを苦手としているところをタッチングする。

 

※回数の目安は、週2~3回、1回3~5分間じっくりと行う。

※程度の目安は、広く均等に圧力をかける。痛みは与えず、注意を向けるくらいの強さにする。

※難易度アップ:苦手な部位にも数ヶ月がかりで挑戦!

 

☆ブラシやスポンジなどを嫌がる場合は、親が素手でタッチングすると良い。その場合も、広い面積を均等に押し、注意を向けさせる。

 

 

 

●手探り遊び

ねらい:指や手で物に触れ、素材や大きさを区別することで、触覚の識別系が働く。目で見ながら作業する時よりも、感覚が研ぎ澄まされているという実感が持てる。効果を感じとりやすい遊び。

 

効果:手先で物を触り分けること、緻密な作業をすることが上手になっていく。のりや粘土のヌルヌル感、砂や芝生のチクチク感、布や金属の感触への強い拒否反応が和らぐ場合もある。

 

方法

①布製の袋を用意する。中身が外から見えないもので、お子さまが手作業をできる大きさのものが良い。

②お子さまに手探り遊びを説明し、袋の中におもちゃを入れる。お子さまが袋の手触りに抵抗を感じていたら、袋を替える。※袋の中身を完全に隠すと難しい場合には、少し中身が見える洗濯ネットを使用しても良い。

③積み木やブロックなど、お子さまがいつも使っているものを入れて、形を当ててもらう。〇や△などシンプルなものが良い。

④おもちゃの他に日用品や雑貨なども入れ、素材を当ててもらう。感触の異なるものを色々と試す。※ゴルフボールとピンポン玉を入れ、素材の違いを感じてもらう。好きな人形や電池なども使える。

⑤答えや結果よりも、手探りで課題にチャレンジする過程が大切。正答でなくてもお子さまを褒める。

 

※回数の目安は、週2~3回、1回5~10分間程度。

 

☆お子さまが目をつぶり、手を出す。机の上に手を置いて、親はお子さまの手の1~3点を指で押す。お子さまはどことどこを押されたのか答える。これは、手のボディイメージ作りにもなるクイズです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

参考文献:木村 順 著  『間隔統合をいかし適応力を育てよう1  発達障害の子の感覚遊び・運動遊び』

 

 

 

 

 

 

 

★次回は、発達障害をお持ちのお子さまへの接し方について書きたいと思います。