「せっかく作ったのに、一口食べてベーっと出してしまう」 「白米や麺類など、特定の白いものしか食べない」 「食事中、ずっと立ち歩いてちっとも座ってくれない」
毎日の食事の時間、「また食べてくれない……」とため息をついていませんか? 栄養の偏りも心配ですし、何より一生懸命作ったご飯を拒否されると、親御さんご自身も悲しい気持ちになってしまいますよね。
こんにちは。作業療法士の佐藤です。
実は、お子さんの「偏食」や「遊び食べ」は、単なるわがままや好き嫌いではなく、「感覚」や「身体の使い方の未熟さ」が隠れていることが非常に多いのです。
今日は、作業療法士の視点から、食卓のイライラを減らすための「3つの秘密」をお話しします。
1. その偏食、「味」ではなく「感覚」が原因かも?
大人は「美味しい・美味しくない」で食べ物を判断しがちですが、お子さんによっては、味覚以外の「感覚」を強烈に感じ取っている場合があります。
- 触覚が過敏なケース: トマトの種の「ぐにゅっ」とした感じや、お肉の「パサパサ」感が、口の中で耐えられないほどの不快感になっていることがあります。
- 温度が過敏なケース: 大人が「適温」と思う温かさでも、口の中をやけどしそうなくらい熱く感じてしまうお子さんもいます。
- 嗅覚が過敏なケース: 湯気と一緒に上がってくる匂いが強すぎて、口に入れる前から拒絶してしまうことも。
「わがままで食べない」のではなく、「口の中の感覚が敏感すぎて、怖くて食べられない」状態かもしれません。まずは「この子はどんな食感や温度なら食べられるのかな?」と、探偵になったつもりで観察してみてください。
2. 噛む力は「足の裏」から!食卓の座り方の秘密
「よく噛んで食べなさい!」と伝えても、丸飲みしてしまったり、くちゃくちゃと音を立てて食べたりしていませんか?
そんな時は、口元ではなく「足元」を見てみてください。お子さんの足の裏は、床(または足置き)にペッタリとついていますか?足がブラブラ宙に浮いていませんか?
人間は、足の裏がしっかりと地面について踏ん張れる状態でないと、顎(あご)の筋肉に十分な力を入れることができません。
- 今日からできる解決策: 椅子の高さが合っていない場合は、足元に牛乳パックに新聞紙を詰めたものや、固めのクッション、専用の足置き台などを置いて、「膝が90度に曲がり、足の裏が全体にピタッとつく環境」を作ってあげましょう。これだけで、劇的に噛む力が増し、集中して座っていられる時間が長くなるお子さんはとても多いです。
3. スプーンを変えるだけで「食べる力」が変わる
お子さんが使っているスプーン、どんな形・素材をしていますか? 実は、食事の道具選びも、作業療法士が必ずチェックする重要なポイントです。
- 「深すぎる」スプーンはNG: スプーンのくぼみが深すぎると、食べ物を口の中に残すために「上唇(うわくちびる)」でこそぎ落とす力が必要になります。口周りの筋肉が未発達なお子さんの場合、これがうまくできず、丸飲みやこぼす原因になります。最初は「浅めのスプーン」を選ぶのが鉄則です。
- 素材の「ひんやり感」に注意: 金属のスプーンが歯に当たるカチッという感覚や、ひんやりとした温度を嫌がるお子さんもいます。その場合は、シリコン製や木製、プラスチック製のものに変えるだけで、スムーズに口を開けてくれることがあります。
まとめ:食事の時間は「戦場」ではなく「安心の場」へ
お子さんの偏食や食事中の態度は、決して親御さんのしつけのせいではありません。
- 「味」ではなく「食感・温度・匂い」の感覚を観察する
- 足の裏をペッタリつけて、踏ん張れる姿勢を作る
- スプーンの深さや素材を見直してみる
毎日3回やってくる食事の時間が、親御さんにとってもお子さんにとっても「戦場」になってしまうのは、本当に辛いことです。
栄養バランスを気にするのはもちろん大切ですが、まずは「食卓=楽しくて安心できる場所」にすることが一番の土台になります。今日お伝えした「姿勢」や「道具」といった環境調整から、ぜひ少しずつ試してみてくださいね。


