「宿題中、すぐに机に突っ伏してしまう」
「食事中も椅子の上でクネクネ、足がブラブラしている」
「スポーツをしていても、すぐに転んだり当たり負けしたりする」
お子さんのこんな様子を見ると、「もっとシャキッとしなさい!」「やる気がないの?」と、つい口うるさく注意してしまいませんか? 何度言っても直らないと、親御さんもイライラしてしまいますよね。
でも、少し待ってあげてください。
実はその「姿勢の悪さ」や「落ち着きのなさ」、決してサボっているわけでも、筋力が極端に弱いわけでもないかもしれません。
日々の訪問リハビリで多くの子どもたちの体を見ている作業療法士の視点から、「姿勢を保つ」という隠れた大仕事と、おうちで楽しく体幹を育てる遊びのヒントをお伝えします!
「まっすぐ座る」は脳の超・高度なテクニック!
大人にとっては無意識にできる「椅子にまっすぐ座る」という動作。実はこれ、子どもの脳と体にとっては非常に高度な処理を必要とする大仕事なのです。
姿勢を保つためには、主に次の2つの「感覚」がしっかり働いている必要があります。
- 前庭覚(ぜんていかく): 耳の奥にあり、重力に対して「自分の体が今どう傾いているか」を感じ取るバランスセンサー。
- 固有受容覚(こゆうじゅようかく): 筋肉や関節にあり、「今、体のどの部分にどれくらい力が入っているか」を感じ取るセンサー。
姿勢が崩れやすいお子さんは、この2つのセンサーからの情報を受け取って、脳で整理する力(感覚統合)が発達の途中なのです。
「自分が今どのくらい傾いているか」が分かりにくいため、無意識のうちに机に寄りかかったり、足をブラブラさせて感覚を探ったりして、なんとか自分の体を安定させようと頑張っている状態と言えます。
サッカーなどのスポーツや、手先の不器用さにも直結!
姿勢を支える体の中心部分(体幹)は、すべての動きの「土台」です。
例えば、サッカーで強いシュートを打ったり、相手と競り合ったりするためには、まず体の中心がブレないことが必須です。また、前回お話しした「お箸や鉛筆を器用に使う(手先の巧緻性)」ためにも、肩や背中などの体幹がしっかり安定していることが大前提になります。
つまり、「姿勢が崩れやすい」というサインは、学習面だけでなく、運動面や生活面での「ぎこちなさ」に繋がる重要なSOSなのです。
「シャキッとしなさい」の代わりに!おうちでできる体幹遊び3選
姿勢を良くするために「背筋を伸ばしなさい!」と怒ったり、腹筋運動などの筋トレをさせたりするのは、長続きしませんし根本的な解決にはなりにくいです。
大切なのは、遊びの中で「前庭覚」と「固有受容覚」にたっぷり栄養(刺激)を与えてあげること。今日からリビングでできる楽しい遊びを3つご紹介します。
① 動物歩き競争(固有受容覚・前庭覚を育てる)
四つん這いで進む「クマさん歩き」や、お腹を床につけて腕の力で進む「ワニさん歩き」で競争します。
- ポイント: 手足にグッと体重をかけることで、関節や筋肉のセンサーが強く刺激されます。自分の体を支える力が自然と身につきます。
② タオルでダイナミック・そり遊び(前庭覚を育てる)
大きめのバスタオルの上にお子さんをうつ伏せ(または仰向け)に乗せ、大人がタオルの端を持って部屋の中を引っ張ります。
- ポイント: 引っ張られるスピードや揺れがバランスセンサーを刺激します。うつ伏せで行うと、頭をグッと持ち上げるため、背中から首にかけての体幹の筋肉(抗重力筋)がしっかり働きます。
③ お手伝いで体幹トレーニング!「雑巾がけ」
遊びではありませんが、昔ながらの「雑巾がけ」は最強の体幹トレーニングです。
- ポイント: 両手に体重を乗せ、足で床を蹴って進む動きは、全身の筋肉と感覚をフル稼働させます。「競争だ!」とゲーム感覚で取り入れれば、お部屋も綺麗になって一石二鳥です。
まとめ:姿勢の崩れは「脳が成長中」のサイン
お子さんが机に突っ伏してしまったら、「サボっている」のではなく「今、姿勢を保つための感覚を一生懸命育てている最中なんだな」と見方を変えてみてください。
「シャキッとしなさい!」という言葉をグッと飲み込んで、「一緒に動物歩き競争しよう!」と誘い出すことで、親御さんのストレスも減り、お子さんの体幹も自然と育っていきます。
「うちの子の姿勢、どんな遊びが合っているかな?」と気になった時は、いつでも『Temps tendre』にお気軽にご相談ください。専門家の視点から、お子さんの感覚の特性に合わせたオーダーメイドのサポートをご提案します!


