【夏休みの帰省・旅行】「いつもと違う」が苦手な子をパニックから守る3つの事前準備

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2026年7月11日

​夏休みが近づき、お盆の帰省や家族旅行の計画を立てているご家庭も多いと思います。

​しかし、発達に特性のあるお子さんを育てている親御さんの中には、「場所見知りがひどくて出かけられない」「予定が変わるとパニックになるから、家で過ごすのが一番安全…」と、お出かけ自体を諦めてしまっている方も少なくありません。

​親戚からの「しつけがなってないんじゃない?」という心ない視線に、肩身の狭い思いをした経験がある方もいらっしゃるでしょう。

​お子さんがパニックを起こすのは、決してわがままやしつけの問題ではありません。脳が「次に何が起きるか」を予測するのが苦手なため、環境の変化に対して強い恐怖や不安を感じているからです。

​今回は、お子さんの不安を和らげ、家族みんなで穏やかな夏の思い出を作るための「3つの事前準備」を作業療法士の視点からお伝えします。

​1. 「いつ・どこで・何をするか」を写真で見せる(視覚的支援)

​「見通しが立たないこと」は、特性を持つお子さんにとって最大のストレスです。言葉で「明日はおばあちゃん家に行くよ」と伝えるだけでは、具体的なイメージが湧かず不安が募ります。

​そこで効果的なのが、**写真やイラストを使った「事前の視覚的スケジュール」**です。

【具体的なやり方】

  • 目的地の写真を見せる: 泊まるホテルや親戚の家、そこに行くまでに乗る新幹線や車の写真を、数日前からスマホや印刷した紙で見せておきます。
  • スケジュールの見える化: 「①くるまにのる → ②おひるごはん → ③おばあちゃんのいえ → ④ねる」といった簡単な予定表を作り、一つ終わるごとにシールを貼ったり、チェックマークを入れたりして「今ここ」を分かりやすくします。

​「知っている場所に行く」「次に何をするか分かっている」という状態を作るだけで、パニックの確率はグッと下がります。

​2. 「いつもの匂い・手触り」をそのまま持っていく(感覚の安定)

​旅先のホテルや親戚の家は、家の匂い、布団の感触、シャンプーの香りなど、あらゆる感覚情報が「いつもと違う」状態です。感覚過敏のあるお子さんにとって、これは非常に落ち着かない環境です。

​荷物は少し増えてしまいますが、**「安心できるいつものグッズ」**を物理的に持参することが、何よりの精神安定剤になります。

【持っていくと安心なアイテム例】

  • ​毎日使っているお気に入りのタオルや小さな毛布(手触りと匂い)
  • ​いつも家で使っているシャンプーやボディソープ(匂いと肌触り)
  • ​落ち着くためのイヤーマフや、使い慣れた水筒

​環境が変わっても「自分の知っている安心できる感覚」に触れられる場所(ベースキャンプ)を意図的に作ってあげてください。

​3. 親戚への「事前説明」で親御さんの逃げ場を作る

​帰省先での親戚の集まりは、人が多くてガヤガヤしており、お子さんが最も情報過多になりやすい環境です。親御さんが周りの目を気にしてピリピリすると、その緊張はお子さんにも必ず伝わります。

​あらかじめ、親戚にはお子さんの特性を**「客観的な事実」**として伝えておくことが大切です。

【説明のコツ】

  • ​×「この子はわがままで〜」「落ち着きがなくて〜」と感情的に伝える
  • ​○「この子は**『初めての場所や大きな音がとても苦手な特性』**があります。もしパニックになってしまったら、別室で少し休ませるので気にしないでくださいね」と具体的に伝える

​「こういう時はこうする」という避難ルールを事前に共有しておくことで、親御さん自身の心理的負担(逃げ場)を確保することができます。

​お役立ちリンク集

​環境の変化を乗り切るためには、お子さんの感覚の特性を正しく理解しておくことが役立ちます。以下のリンクもぜひ参考にしてみてください。

1. 【内部リンク:感覚特性について】

「なぜいつもと違う環境でパニックになるの?」という感覚過敏の基本的なメカニズムについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

【夏の療育】わがままじゃない!「日焼け止めが塗れない」「暑さがわからない」…作業療法士が教える夏の『感覚特性』対策

2. 【公的情報:国立障害者リハビリテーションセンター】

発達障害情報・支援センターの公式ページです。見通しを持たせるための「視覚的支援」の重要性や具体的な工夫が、専門的な視点から分かりやすく解説されています。

▶︎ 発達障害情報・支援センター|ご家族の方へ

​まとめ:旅行の目標は「無事に帰ってくること」

​旅行や帰省となると、「せっかくだからあそこも行こう」「あれも体験させよう」と予定を詰め込みたくなりますが、特性のあるお子さんにとって「いつもと違う場所で過ごす」こと自体がすでに大冒険であり、立派な挑戦です。

​予定通りにいかないことがあっても大丈夫です。親御さんもお子さんも無理をせず、「美味しいものを少し食べて、無事に家に帰ってこられたら100点満点!」というくらいのゆったりした気持ちで、夏の思い出を作ってきてくださいね。