【秋の工作】ハサミが苦手な子へ!作業療法士が教えるスモールステップ

  • Home
  • おうち療育
  • 【秋の工作】ハサミが苦手な子へ!作業療法士が教えるスモールステップ
2026年9月10日

​秋はどんぐりや落ち葉を使った工作が増える季節ですね。お子さんが家でもハサミを使う機会が多くなる時期ですが、「うまく切れなくて紙を破ってしまう」「イライラして癇癪を起こす」と頭を悩ませる親御さんも少なくありません。

​「もっとゆっくり切ればいいのに」「ちゃんと線を見て!」と声をかけても、なかなか上手くいかないものですよね。

​実は作業療法士の視点から見ると、ハサミのつまずきには明確な理由があります。今回は、手先の不器用さ(微細運動の苦手さ)を持つお子さんへ向けた、ハサミの具体的な練習ステップと環境調整のコツを解説します。

​なぜハサミの操作はあんなに難しいのか?

​私たちが普段何気なく使っているハサミですが、実は非常に高度な感覚と運動の組み合わせ(感覚統合)が必要です。

  • ​「両手動作の協調性」の難しさ: ハサミを使うには、「利き手でハサミを開閉する」と同時に、「反対の手で紙を持ち、切る方向へ動かす」という、左右で全く違う動きをしなければなりません。不器用さのあるお子さんは、この「別々の司令を両手に同時に出すこと」がとても苦手です。
  • ​「目と手の協調運動」の難しさ: 切る線を目でしっかり追いながら、その通りに指先をコントロールする力も必要です。この連携がうまくいかないと、線から大きく逸れたり、指を切ってしまいそうになったりします。

​ハサミ嫌いを防ぐ!OT流・3つのスモールステップ

​いきなり丸や複雑な形を切らせるのではなく、まずは「切れた!」という確実な達成感を積むことが何より大切です。

​ステップ1「1回切り(チョキン)」

​まずは、幅2cmほどの細長い紙を用意します。ハサミを1回「チョキン」と閉じるだけで切り落とせるサイズです。連続して切る必要がないため、ハサミを開閉する感覚だけをシンプルに学ぶことができます。

​ステップ2「紙の硬さを変える(画用紙や厚紙)」

​よく、折り紙やチラシで練習させがちですが、実はペラペラの薄い紙は、刃に巻き込まれたりグシャッとなったりして一番切るのが難しい素材です。少し厚みのある**「画用紙」や「厚紙(お菓子の箱など)」**を使う方が、刃が安定してスッと切りやすくなります。

​ステップ3「連続切り(チョキ、チョキ)」

​1回切りに慣れてきたら、少し幅の広い紙にして「チョキ、チョキ」と刃を前に進める練習へ移行します。この時、「ハサミの先の方ではなく、奥(根元)の方で切るんだよ」と視覚的に見せてあげると伝わりやすいです。

​道具の環境調整:お子さんに合ったハサミ選び

​「練習」と同じくらい大切なのが、「道具そのもの」を見直すことです。

  • ​スプリング(バネ)付きハサミ: 「ハサミを閉じる」ことはできても、「開く」のが苦手なお子さんはたくさんいます。自動で刃が開くバネ付きのハサミ(カスタネットバサミなど)を使うだけで、劇的にスムーズに切れるようになります。
  • ​左利き用ハサミは必須: 左利きのお子さんに右利き用のハサミを使わせると、刃の噛み合わせが逆になり、紙が折れ曲がって切れません。必ず左利き専用のものを用意してあげてください。

​参考になるお役立ちリンク集

​手先の不器用さや、お子さんに合った文房具選びのヒントになるリンクをまとめました。

​1. 【内部リンク:消しゴムと両手動作】

ハサミと同じように、「紙を押さえて消す」という左右別の動きが求められる「消しゴム」の苦手さについても、こちらの記事で解説しています。

【宿題のイライラ解決】プリントが破れてパニック!「消しゴム」が苦手な子の不器用さと手先サポート

​2. 【専門サイト:LITALICO発達ナビ】

不器用さのあるお子さんに向けた、ハサミの選び方や練習の手順が分かりやすく紹介されている専門サイトです。

▶︎ LITALICO発達ナビ|不器用な発達障害の子どものハサミ練習法

​まとめ:焦らず「切れた!」という成功体験を

​ハサミの習得は、「練習量」でカバーするものではありません。発達段階に合わせた適切なステップと、お子さんの手の力に合った「道具の工夫」が最大の鍵となります。

​まずは綺麗な線で切れることよりも、「自分でチョキンと切れた!」という楽しい成功体験を、親子で一緒に味わってみてくださいね。